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【福永壮志監督】映画『山女』 不遇にまみれた東北の過去の光景より現代に通ずる不条理を描く[尾道映画祭2024]

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1月13日、広島・尾道で行われたイベント『尾道映画祭 2024』にて映画『山女』が上映され、上映後のトークショーにて作品で作品を手掛けた福永壮志監督が登場しました。

本作は18世紀後半の東北を舞台に、先代の不祥事から虐げられる運命を背負わされたとある一家の姿より、人間のはかなさ、脆さ、恐ろしさと自然への畏敬の念、貧困や差別などの社会的な問題などさまざまな思惑を掻き立てる要素を描いたヒューマンドラマ。


尾道映画祭 2024

福永監督は「(見る人に)生きるたくましさみたいなものが伝わればと思い作りました。今日見ていただいた方に何か残るものがあれば幸いです」と挨拶。全般的に当時の不遇な情勢、それにより生まれる社会関係の不条理が描かれた物語であるのに対し、その流れを覆すほどに大きく展開するラストシーンについて「綺麗ごとだけをいうべきじゃないと思いつつ、つらい話でも何か希望を残すということを映画の中に残しておきたいと思いました」と、作品に込めた思いを語ります。

高校卒業後よりアメリカに留学、その経験で「海外に長くいると日本を外から見る格好になるというか、根源的な日本人とはどのようなものなのか、みたいなことに興味をもった」と外から日本を眺めていた福永監督。その興味を発端に、現代に通ずるものを描きたいと考え、本作の着手に行きついたと振り返ります。またその発端は2019年に帰国し基点を東京に移したころで、間にコロナ禍を挟んだこともあり、同様にコロナ禍などで蔓延した問題、傾向などの傾向も大きく影響したと回想します。


一方、俳優陣のキャスティングについて福永監督は、主演を努めた山田杏奈に関し「その佇まいと惹きつける力に魅力を感じました。本作は全体に『辛い話』だけど、それに屈しない生命力、力強さを描きたかったんです。だからそんなポイントを担えることが必要であり、山田さんはそういった希望的な性質が見える、存在感を内包していました」と、印象にピッタリのキャスティングであったことを振り返ります。

また劇中では非常に印象的な山男を演じた森山未來の起用については「もともとダンスからの身体表現という下地があるし、本人も自身で自然に対する見識がありました。セリフがないからこそ内面で何かを作るというプロセスができる方でないと、(この役柄は)フィクションに寄り過ぎたものになってしまう。人間とそうでないもの、自然との間みたいな、あいまいな存在感にも見えますが、このような存在になったのは森山さんだからこそできたと思いました」と、その存在感に大いに納得していた様子を見せていました。


映画『山女』映画情報

映画『山女』ストーリー

冷害による食糧難が村を襲った、18世紀後半の東北。そんな村で少女・凛は人びとから蔑まれながらも、盗人の女神様が宿るといわれる早池峰山を心の救いとして、たくましく生きていた。

ところがある日、凛の父親・伊兵衛は村中を揺るがす事件を起こし、村人から責められることに。凛は家を守るため自ら村を去る決心をし。けっして越えてはいけないと言い伝えられる山神様の祠(ほこら)を越えてゆく。

そして彼女は、人間なのかもわからない一つの不思議な存在と出会う。

キャスト

山田杏奈、森山未來、二ノ宮隆太郎、三浦透子、山中崇、川瀬陽太、赤堀雅秋、白川和子、品川徹、でんでん、永瀬正敏

スタッフ

監督:福永壮志
脚本:福永壮志 長田育恵
プロデューサー:エリック・ニアリ 三宅はるえ 家冨未央 白田尋晞
エグゼクティブプロデューサー:安田慎 中林千賀子 白田正樹
撮影:ダニエル・サティノフ
編集:クリストファー・マコト・ヨギ
音楽:アレックス・チャン・ハンタイ
助監督:北川博康
制作担当:大村昌史

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桂 伸也

桂 伸也

“和”という言葉で表現されるものには、人によって色んなイメージがあると思いますが、私は“整然として落ち着いたもの”という雰囲気を感じ取っています。

普段は芸能系ライターとして活動を行っており、かなり“にぎやかな”世界に生きていますが、その意味で“和”という言葉から受ける雰囲気に、普段から強い憧れや興味をもっていました。

なので、そんな素敵な“和”の世界へ、執筆を通して自らの船を漕ぎ出していきたいと思っています。

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