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【宮田バスターズ】古典劇の仕掛け!日本一の兵と通じるところが!? 映画『宮田バスターズ(株)-大長編-』[インタビュー]

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選ぶとかの考えはなかった


――宮田バスターズ(株)の宮田社長役 主演の渡部さんは、中小企業の社長さんとして業務をこなしていそうですよね。キャスティングはどのように進めたられたのですか?

[坂田敦哉監督]
宮田バスターズは、僕が学生の頃から考えていたアイデアで、企画した時はただの学生なんですよね。役者とのつながりもないし、ましてや学生の映画に役者の方が出てくれるなんて考えもしていませんでした。

そんな時に、渡部さんから声をかけていただいたんです。

[渡部直也]
監督との出会いは、福岡インディペンデント映画祭なんです。その時上映した坂田監督の「FIGHTING CAMERAMAN」がすごくおもしろくて。ただ、年配の方の役を学生が演じていているのが少し気になったので、「おじさんとかおばさんの知り合いとかたくさんいるので、次回、撮る時に紹介しますよ。」って声をかけたんです。ただのお節介。笑

[坂田敦哉監督]
学生の自分からしたら、おとなの人が自分の映画に出てくれるなんて考えてもいなかったので驚きもありましたが、そんなお話をいただけるなら一緒に作ってみたいなとも思いましたね。

[渡部直也]
自分が出演するとかではなく紹介する予定でしたが、宮田社長になっていました。笑

[坂田敦哉監督]
ヒロインの大須みづほさんからも「次に映画撮る時出たいです」とメールをいただき、出たいと言ってくださるのならぜひという感じでした。キャストを選ぶとかの考えはなかったですね。

[渡部直也]
そしたら、宮崎さんまでね。


インディペンデントは当たって砕けろ


−−女優の宮崎美子さんも出演されていますよね。宮崎さんの出演はどのような経緯だったのですか?

[渡部直也]
学生の頃から付き合いのある監督が制作する映画にスタッフとして手伝いに入ったんです。その映画に、宮崎美子さんが出演されていて、楽屋にお弁当を持って行く時とか、「お弁当いかがですかー。」「お湯沸いていますよ。」とかコントのように届けると宮崎さんも一緒にボケてくれたり、最後に宮崎さんがオチを言って落としてくれたりといい関係性が築けていたんです。

そこで、宮田バスターズに出てもらえたらと思って、その映画の関係者に「インディペンデント映画でオファーをしても良いものなのでしょうか?」って聞いたら、「インディペンデントは当たって砕けろよ。つないであげるよ。」って言ってくれたんです。

宮崎さんに話してみると「やります!」と即答してくれました。

[坂田敦哉監督]
僕は傍観することしかできませんでしたけれど、感動でした。


−−現場はどのような様子でしたか?

[渡部直也]
大阪まで来ていただきましたが、すごく楽しんでいただいて。

宇宙生物ってこうなんじゃない?とか、宇宙生物にはこれが合うんじゃない?と色々とアイデアを出していただけて、「うぁーおもしろい。さすがですねー。」って、和やかに撮影が進みましたよね。

[坂田敦哉監督]
そうですね。設定の部分でも深みを増してくださって“恐縮です”って感じでした。笑

宮崎さんが出演してくださるという事だけでも緊張していましたが、まったく緊張感を与えない方ですごく優しくてほっとしました。スタッフは、一周まわって現実味を帯びていない感じでしたね。


バスターズ道があるんです


−−宮田バスターズ(株)や名称のモデルはありますか?

[坂田敦哉監督]
宮田というのは、高校の時のクラスメイトの名前なんです。自主映画って全員のモチベーションを保つのが大切で。セットや小道具とかも一緒に作ってもらわいないとなので、スタッフが楽しめるように身内ネタを大切にしているんです。

以前は、宮田バスターズといったら、宮田くんを想像することが多かったのですが、今は、宮田バスターズ株式会社をイメージできるようになり、少しずつ大きくなってきたのかなと感じます。

最近、直接お願いした訳ではないのですが、宮田バスターズファンの方が宣伝活動とかしてくれているんです。しかも、楽しんでやってくれていて、どんどん人の輪が広がっているんです。驚きつつも本当にありがたいです。

−−戦闘シーンは、かなり激しいですね。

[渡部直也]
そうですね。突っ込むシーンとか「攻め取るぞ!」ってくらいの意気込みで、かなり気持ちが入り込んでやっていました。

歌舞伎で舞台セットを崩す“屋台崩し”という仕掛けがありますが、映画祭で上映した坂田監督の「FIGHTING CAMERAMAN」見た時に屋台崩しを感じたんです。その時「やってみたい!」って思いましたね。

[坂田敦哉監督]
「FIGHTING CAMERAMAN」は10分の作品で、僕がたまたま壊しただけかもしれないけれど、実際、宮田バスターズに参加した皆さんは、本当に“屋台崩し”が好きな方が多かったですね。笑

何か映画作りの過程にしてもストーリーにしても、武士道のような“道”?「バスターズ道」があるんですよ。単純に好きなんだって事かもしれないけれど、「取り入れたい」とか「やってみたい」っていうものがあって。かっこいいじゃないですか。

[渡部直也]
芝居をする側としても相当やらせてもらっているなって感じました。


日本一の兵に、狂言出演

−−歌舞伎の屋台崩しや武士道の話もありましたが、日本の文化で興味や関心のあることはございますか?

[渡部直也]
歌舞伎はかなり好きですね。宮田バスターズのシーンでもちょっとかぶいている部分もあるんですよ。「やー!」って法界坊の動きを取り入れてみました。

[坂田敦哉監督]
日本の文化大好きです。書院造りとか神社仏閣、城も好きですね。あと戦国時代が好きです。豊臣家が滅びる大坂冬の陣、夏の陣。真田幸村とか。武田信玄のあたりもいいですね。

[渡部直也]
僕も日本史全般好きですね。実は、宮田バスターズも天下分け目の戦いだって言っていて。現場で「この戦取らねばならぬ。」「どんな手を使っても勝たねばならぬ」と言い合っていましたね。

[坂田敦哉監督]
宮田バスターズに通じるところがありますよ。何かが衰退していく最後の争いみたいな。

僕の中では大阪の陣の滅びゆく豊臣方の真田幸村なんてかなり取り込んでいますよ。幸村はずっと山にこもっているじゃないですか。でも、刀だけは手入れをしていて、最後に出てくる。

そういった熱い部分は宮田バスターズでも意識している所なんです。

[渡部直也]
それ初めて聞く。 確かに、宮田社長も!


−−映画の話と変わりますが、渡部さんは10月末に開催された野村万作卒寿記念公演 狂言「唐人相撲」に出演されましたね。(2021年10月28日、31日に国立能楽堂で開催)

[渡部直也]
野村万作先生の卒寿のお祝いで、僕は多数出るうちのひとりなんですけれど。4年ぶりの出演で、学生の時、2008年、2017年と今回で4回目になります。

−−狂言のたしなみはありましたか?

[渡部直也]
日本舞踊は、12、3年やっているんですけれど、狂言に関しては、その時その時に万作先生に指導していただいています。やはり、狂言特有のすり足とかはご指導いただかないと難しいですね。

−−狂言の舞台ってどのような感じですか

[渡部直也]
いい緊張感があります。野村萬斎先生のアドリブや冗談がたくさん飛び交っていて、緊張感とユーモアが混在している空間です。狂言はあくまで喜劇なので、緊張感を持って喜劇をみんなで作っている喜びがありますね。

古くから伝わり培われたもので、コメディの基本を教えてもらっているような感じです。


メッセージ


−−最後に短編を見ていない方も含めてメッセージをお願いします。

[坂田敦哉監督]
短編と大長編とでは、キャラクターだけのつかながりで、続編でもなく新しく作っていますので、短編をご覧いただいていなくても楽しめる作品です。気軽に劇場で楽しんでください。

[渡部直也]
この映画は、色々な捉え方があると思います。理不尽で辛い。時代の流れに逆らえない。とか、ワアー!ドカーン!パッカーン!ヤッホー!とか。様々な見方で楽しんでください。


−−では、宮田社長、ひとことお願いします。

弊社スタッフの頑張りと奮闘ぶりをご覧ください。有終の美を飾るのか。はたまた飾らないのか。劇場でお待ちしております。


どんなものにも終わりは訪れる。

人々の安全を守るべく、長きに渡り宇宙生物と戦い続けてきた中小企業の均衡は「テクノロジーの進歩」によって崩れ始めた…。

宮田バスターズの背景には、二度にわたり“家康の首を取る寸前”まで追い詰め、義を重んじ豊臣家と共に滅んだ「真田幸村」の姿がありました。最後、宮田バスターズ株式会社はどうなるのか!? 宮田バスターズ版屋台崩しも見ものです。

ちなみに、ポスターの写真は、合成ではなく実写らしいです。

レンガも1個1個手作りで、顔のところにレンガが被っちゃったからもう一度って、レンガを積んでは壊し、積んでは壊しで、10回くらい撮り直したそうです。改めて、ものづくりの楽しさも感じてもらえたら嬉しいですと坂田監督がおっしゃっていました。


プロフィール


[坂田敦哉監督]

1999年大阪府生まれ。
小学生の頃に見た「ドラえもん」の自主特撮を作るお話に感銘を受け、以降自主映画を作り始める。
大阪芸術大学映像学部を中退後、専門学校で特殊造形を学ぶ。現在は都内のCM制作会社に勤務。


[渡部直也]

1983年広島県生まれ。
早稲田大学在学中に稲門シナリオ研究会に在籍。2016年に主演作「食卓」(小松孝監督)がぴあフィルムフェスティバルPFFアワード2016グランプリを受賞。バンクーバー国際映画祭、東京国際映画祭等で上映される。2021年秋、野村萬斎演出・出演の狂言「唐人相撲」於国立能楽堂に2017年に続いて出演。



宮田バスターズ(株)-大長編-

渡部直也
大須みづほ、佐田淳、山本愛生 他
監督・撮影・脚本・照明・編集・特殊造形:坂田敦哉
2021年/日本/日本語/カラー/16:9/ステレオ/72分/

©映像製作団体友

11月20日(土)より池袋シネマ・ロサにて公開

<公式ツイッター> @MIYATA5050

<予告編>


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ひで

ひで

興味から参加した川中島合戦戦国絵巻。
鎧をまとい、手には槍に模した棒、腰には模造刀を持ち、いざ、敵軍に向かって出陣!かなりのハイテンション!
イベントの仕事でご一緒した忍者の末裔。ガチの忍者の動きを真似てみるが、鍛錬されている動きについていけず、改めて、本物のすごさに気付かされる!
初めて、着物を着ても普段の動きと違い所作の大切さに気づく!
あれ?難しそうって思っていた芸能も少しわかっちゃうと面白いぞ!のめり込んでいくのがわかる!

日本の文化というと様々ではあるが、気になったものやその時出会ったものに「まずは、やってみよう!」で、学び、体験し、きっかけ作りとなるよう伝えていきたい。

知らないことを知るって楽しいことですね^^

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