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【白石和彌監督】広島への感謝とともに「シリーズ続編を再び広島で」をアピール。映画『孤狼の血 LEVEL2』[広島国際映画祭2021]

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映画『孤狼の血 LEVEL2』


映画『孤狼の血 LEVEL2』は柚月裕子による小説を映画化した『孤狼の血』の続編ドラマ。舞台を前作から三年後に移したオリジナルストーリーとなっており、架空の都市である広島県呉原市において亡き先輩刑事の跡を継ぎ抗争を治めた一人の刑事が、刑務所を出所し新たな対立を巻き起こそうとする暴力団員と激戦を繰り広げる様を描きます。

作品は前作に引き続き白石和彌監督が担当、同じく前作で新人刑事・日岡役を演じた松坂桃李が主人公を務めます。そしてその日岡と火花を散らす暴力団員・上林役を鈴木亮平が担当、さらに村上虹郎、西野七瀬、中村梅雀、吉田鋼太郎、音尾琢真、渋川清彦、毎熊克哉、斎藤工、滝藤賢一、寺島進、宇梶剛士など個性的な面々が登場します。

本作は今年8月に全国公開されましたが、当時はコロナ感染拡大の影響により当然広島での舞台挨拶も行われず。白石監督は当時を振り返りながら、この日の舞台に立てたことに対して「『(作品が)できたよ!』と言える機会をいただいたのを、本当にありがたく思います」と喜びのコメント。

撮影についてもスケジュールに大きな影響を受けたという本作。前作に続いて出演を果たしたさいねいは、緊急事態宣言解除後に行われた本作の撮影について「雰囲気が前作と違っていましたね、空気感も。前作はセリフを間違えるのが怖くなるくらいにスゴイ緊張感に満たされてましたが…」と振り返ります。これに関しては白石監督も、前作では自らが煽り気味で雰囲気を作っていたのに対し、本作の撮影では逆に出演者に対して抑えが必要なくらいの勢いに満ちていたと回想、いかに撮影開始をスタッフ一同が待ち望んでいたかを想像させます。

またこの日は、ストーリーについても言及されました。柚月裕子の原作は『孤狼の血』『凶犬の眼』『暴虎の牙』という三作品からなるシリーズ。白石監督は、本作に関してちょうど『孤狼の血』と『凶犬の眼』の間ぐらいに当たるストーリーとして発案したことを明かしながら、物語に登場する新キャラクター、上林(鈴木亮平が担当)のエピソードとして、彼が広島にまつわる場所である「市営基町高層アパート」(被爆後、被爆跡地に出来上がった「原爆スラム」を解消する目的で作られたというアパート)のような場所の出身であるという背景を作っていたことを明かします。

そしてその意図として、「マイノリティーが死んでいくという」という傾向が見られたこの場所から、そういった現状が日本には相変わらずあるということを表現することであると語り「広島で(映画を)撮る意味を示したかったんです」とコメントします。


一方、広島の撮影については広島フィルム・コミッションをはじめ呉市での撮影では市長が現場を見学に来て応援していただいたこと、ロケ地マップを作っていただいたことなどを回想しながら「広島の受け入れ状況は想像以上だったんじゃないかと思います」と感謝の思いを言葉にしました。

前作を製作している段階で、続編を作ることになるとは想像もしていなかったという白石監督ですが、すでに配給側より続編をやろうという話も出ていることから「(主演を務めた)桃李くんからも『このままじゃ終われません、死なせてください!』と言われていますし。当然広島で撮影します」とコメント。さいねいがこれに「僕もこのままじゃ終われません!」と合わせると、白石監督はさいねいに再び出演をオファーすることを約束、会場から大きな拍手喝さいを受けました。


白石和彌 プロフィール

1974年12月17日生まれ、北海道出身。若松孝二に師事し、フリーの演出部として行定勲、犬童一心らの監督作にスタッフとして参加する。2010年「ロストパラダイス・イン・トーキョー」で長編監督デビュー。

2013年に長編第2作「凶悪」で新藤兼人賞2013の金賞をはじめ多数の賞に輝き、2017年には「彼女がその名を知らない鳥たち」でブルーリボン賞監督賞を受賞した。そのほか「日本で一番悪い奴ら」「サニー/32」「牝猫たち」「孤狼の血」などを手がける。


映画『孤狼の血 LEVEL2』

[公式サイト] https://www.korou.jp/


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桂 伸也

桂 伸也

“和”という言葉で表現されるものには、人によって色んなイメージがあると思いますが、私は“整然として落ち着いたもの”という雰囲気を感じ取っています。

普段は芸能系ライターとして活動を行っており、かなり“にぎやかな”世界に生きていますが、その意味で“和”という言葉から受ける雰囲気に、普段から強い憧れや興味をもっていました。

なので、そんな素敵な“和”の世界へ、執筆を通して自らの船を漕ぎ出していきたいと思っています。

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