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【丈監督・倉野尾成美・中村玉緒】「いのちのバトン」を様々な視点より描いた映画『いちばん逢いたいひと』[広島国際映画祭2022]

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映画『いちばん逢いたいひと』

本作は作品のプロデューサーである堀ともこさんの娘さんが幼くして白血病との診断を受けたことがきっかけで、そのエピソードをもとに丈監督が脚本、監督を手掛けた物語。全編を広島にて撮影が行われました。


娘さんはドナーが見つかり骨髄移植により助かったものの、同じようにドナーを待っていた同病室の仲良しの子が助からずに「うちの子だけ助かってごめんなさい」と思ってしまうような複雑な思いに陥ったこと、その後自身もドナーとして骨髄を提供した経験をきっかけに思いは変わり、本作への制作へと至ったといいます。

イベント冒頭ではこの経緯とともに、同じような境遇への協力を乞う思いをつづられた堀さんからの手紙が紹介されました。この思いに対し丈監督は「堀さんの思いを具現化して、お客様に楽しんでいただけるエンターテイメントになれば、なお良いなと思い必死に考え取り組んできました」と、依頼を受託後に抱いた物語への思いを明かします。


「地元の熊本と似ているところも多く、故郷のような親しみやすい印象を受けました」と、撮影で訪れた広島の印象を語る倉野尾さんは、役柄に関しては「役作り、というよりは等身大の自分でいようと思い演じました」と語り、主人公のイメージに自身が多く重ねられるところがあったという様子を明かします。

一方「ここだけの話」として現場のこぼれ話も。倉野尾さんは「初日に衣装がなかった」と衝撃のハプニングを告白。「朝からの撮影なのに現場に衣装が届いてなくて。”どう撮影するんだ?大丈夫か?”って。この撮影、終わるのかな…と心配になりました」などと明かし、会場を沸かせます。

広島弁の入り混じる台本で「初めての広島弁も台本通りに話したかった」と、精一杯役柄に向き合ったという中村さん。トークショー中では時に脱線し観衆の笑いを誘う姿に丈監督は焦った表情を見せながらも、その演技に向けた意気込みに対して、何度も「素晴らしかった」と称賛の言葉を惜しみなく投げかけます。


中村さんの役柄は、社会的に追い詰められ絶望にさいなまれるIT企業代表の母親。自身も白血病ではないものの実の息子さんを亡くした過去を持つ身だけに、「もし息子がそんなふう(映画の役柄のように、追い詰められる)になったら、自分の命をあげたい。自分の意の命より息子を助けたい、そんな感じで演じていました」と本作に向け思いいっぱいでぶつかった様子を語りました。

またイベントの終わり間近には観衆より丈監督に向け「監督の思う命のバトンとは?」という質問が投げかけられ、監督は「自分にしか持てない時間が命であり、その限られた時間の中でどう完全燃焼していくか、というものだと思います」と自身が考える、バトンによりつなげられる「命の意味」を語られました。


【公式】「いちばん逢いたいひと」特報トレーラー


(以下、『広島国際映画祭2022』公式サイトより)

映画『いちばん逢いたいひと』ストーリー

11歳の女の子、楓は、ある日突然授業中に倒れてしまい、「急性骨髄性白血病」と診断された。幼い楓にとって、抗がん剤治療や放射線治療は過酷でしかなかったが、隣のベッドで同じ病気と闘っている与志だけが唯一の心の支えだった。

同じ頃、IT企業を経営する柳井健吾は最愛の娘を白血病で亡くしてしまう。経営者の健吾は仕事を優先せざるを得なかったが、娘を失ったことで、幸せだと思っていた家庭は崩壊へと向かってしまう。

自暴自棄となった健吾だったが、ドナー登録をしたことから骨髄ドナーとなることができた。家族を失ってしまった健吾にとって、今や骨髄ドナーになれたことだけが人生唯一の誇れることだった。かけがえのない人を失いながら、それでも懸命に生きていこうとする一人の男と一人の少女。異なる人生を歩みながら探し求めた、それぞれの「いちばん逢いたいひと」とは……。


キャスト

倉野尾成美(AKB48)、高島礼子、中村玉緒、三浦浩一、不破万作、丈、田中真弓、大森ヒロシ、崔哲浩、夏井世以子、町本絵里 他


スタッフ

音楽:山本雅也、猿楽、山中勇哉
照明:本間光平
撮影:松岡寛
監督/脚本:丈
プロデューサー:堀ともこ

<作品情報>
制作年:2022年
上映時間:106分
制作国:日本
音声言語:日本語


公式サイト

https://www.ichi-ai.com/


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桂 伸也

桂 伸也

“和”という言葉で表現されるものには、人によって色んなイメージがあると思いますが、私は“整然として落ち着いたもの”という雰囲気を感じ取っています。

普段は芸能系ライターとして活動を行っており、かなり“にぎやかな”世界に生きていますが、その意味で“和”という言葉から受ける雰囲気に、普段から強い憧れや興味をもっていました。

なので、そんな素敵な“和”の世界へ、執筆を通して自らの船を漕ぎ出していきたいと思っています。

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