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【盆栽】初心者でも簡単に楽しめる!盆栽の種類から育て方

 2020/05/24 造形 芸術
 
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盆栽とは

盆栽は、枝や幹などに手を加えて育てる、観賞用の草木の鉢植えのことです。鉢の中に凝縮された自然を徹底的に作り込み、それを堪能する芸術作品ともいえるでしょう。

元は「盆景」と呼ばれる中国の文化が、平安時代に日本へ渡ってきたものではありますが、今や盆栽は日本文化のひとつとなり、「BONSAI」として海外にも知られています。

特に江戸時代は園芸文化が盛んで、武家から庶民まで、さまざまな人々が園芸を楽しみ、品種改良も盛んにおこなわれていました。

日本が世界に誇る文化の盆栽は、確かに奥が深いです。樹形(盆栽の木の形)だけでも、上に向けてまっすぐに伸びている「直幹」、幹が一方向に傾いている「斜幹」、幹がうねっているなど変化のある「模様木」など、たくさんの種類があります。時には針金を使って形を整え、自分好みの姿にします。

これだけでも「難しそう……」と感じる方は多いかもしれませんが、最初から全てを知る必要はありません。初心者向けのものもありますし、本やインターネットでいろいろな知識を仕入れることもできます。いきなり詳しくなろうとせず、少しずつ盆栽の世界に入ってみるのはいかがでしょうか。


主な盆栽の種類

松柏

松柏(しょうはく)とは、盆栽の代表格と言われている、松と真柏(しんぱく)のことです。その他、檜や杉もこのカテゴリに入るようです。

ここに出てくる「柏」は柏餅に使われるようなブナ科の大きな葉の植物ではなく、ヒノキ科の植物を指します。

常緑の針葉樹で、長寿や子孫繁栄などの縁起物としても扱われる王道の木々です。

初心者向けと言われることが多いのは、五葉松や黒松です。いかにも盆栽らしい王道の樹木なので一度は挑戦してみたいですよね。


花もの

主に花を観賞することを目的とした盆栽が「花もの」です。見た目がとりわけ華やかで、花が咲くまでの時間を楽しみに思いながら過ごせます。

ボケ、桜、藤、椿、サツキなど、さまざまな花木がありますが、梅が育てやすいと評判です。また、日本人にとって特別な花である桜も人気が高いようです。


実もの

その名のとおり、果実をつける木を使っているのが「実もの」。小さな幹に堂々と実をつけた姿を見れば、大きな達成感を味わえることでしょう。

例としては、姫リンゴ、ウメモドキ、カリン、あけびなど。初心者向きとされるのは、丈夫な紅紫檀(べにしたん)。花も実もかわいらしい樹木です。

物によっては実をつける樹木でも「花もの」に分類されることもあるようです。実をつけるための花も楽しめる、お得な盆栽と言えるかもしれません。


葉もの

幹を彩る葉そのものを観賞の対象としたものを「葉もの」と言います。

葉の色の変化や季節の移ろいを楽しめるものが多く、葉が落ちた後の枝もまた味とされています。

色づきのいい紅葉や楓、比較的育てやすいとされる欅が、初心者によくオススメされるようです。


草もの

盆栽は木を観賞するものが多いですが、山野草を植える「草もの」というジャンルもあります。寄せ植えや木の添え物に使われたりするだけなく、草そのものを主役とする場合もあります。比較的手軽で、初心者に向いているとされています。

シダ類や石菖(せきしょう)、シノブのほかに、桔梗や桜草、ヤマアジサイといった花のつくものも植えられたりします。


盆栽の育て方


樹木、鉢、土の選び方

まずは樹木選びです。先にご紹介したとおり、初心者向きの樹種はいろいろありますが、どうしても育てたい種類があるという人もいるでしょう。そういうときは、ある程度育ったものを入手することをお勧めします。できれば、育てる場所の日当たりなども踏まえて、環境と相性のいい植物を選んでみましょう。

次に、樹木を受け止めてくれる土と鉢の用意です。どちらも保水性・排水性・通気性を考慮すること、育てる樹種に合わせて選ぶことが大切になってきます。

土に関しては、赤玉土、鹿沼土、桐生砂が代表的な盆栽用土と言われています。それぞれ特徴があるので、自分の育てたい樹木との相性を調べて決めてみましょう。

一方、鉢選びですが、中で根を張るので、育てる樹木に合った大きさを選びましょう。「根が伸びやすいように、大きめのほうがいいかな?」と思いたいところですが、鉢に対して樹木が小さすぎるのもアンバランスです。鉢は機能性だけでなく、見た目も樹木と釣り合うものが理想的なので、自分で見てしっくりくる組み合わせにしましょう。ある程度育てたら、自分好みの観賞用の鉢に移してしまうのもひとつの手段です。


道具

ペットを飼うときにトイレや食事のお皿を用意するのと同じく、盆栽にも最低限お世話に必要な道具があります。

初心者用の道具セットに必ずと言っていいほど入っているのは、盆栽用ハサミ(剪定ハサミ)とピンセットです。特にハサミは手持ちの一般的なもので代用したくなりますが、葉だけでなく、枝や根までもしっかり切れる専用のハサミを用意したほうがいいでしょう。ピンセットは、いらない草を間引いたり、虫を取ったりするのに使います。ヘラがついていると、いろいろな場面で使えて便利です。このふたつは最低限用意しておきたいところです。

次に、植物に欠かせない水やりの道具、じょうろや霧吹きです。じょうろは鉢の全体に、霧吹きは葉や細かい部分にと使い分けます。どちらも、自分に扱いやすい大きさにして、じょうろは注ぎ口が細長いものにすると水の調整がしやすくて便利でしょう。代用品を使うときも、水の量をコントロールしやすいものを選んでください。

また、盆栽の健康を維持するために、肥料と殺菌殺虫剤もできれば用意しておきたいところです。

枝を曲げたり支えたりする針金と針金切り、針金の形を作るやっとこもあると便利でしょうが、初心者ならあまり優先度は高くないと思います。


世話のしかた

まず、置き場所を決めましょう。基本は屋外で育てるものなので、日当たりや風通しがある程度確保されているところが理想的です。地面に直接でなく棚や台の上に置き、風で倒れないように気をつけてあげてください。

そして大事なのは、水やりです。季節やその日の気候にもよりますが、乾燥しないように、毎日必ずお水をあげてください。

初心者のうちは土の表面の乾燥具合がよくわからない、という声もよく聞きます。水をやるときは受け皿に水が流れる程度にあげ、夏場は1日に2~3回を目安にしてみてください。根腐れについては、土や鉢を水はけのよいものにすると心配が減ります。

育てている過程で、余分な枝や葉、あるいは病気の部分が出てくるかもしれません。そのときは、ハサミの出番です。自分の育てたい形を思い描いて、それに合わせて余分な部分を取り除いていきます。針金で樹形を変えたり整えたりするのは、いかにも盆栽の作業らしくて憧れますが、完全初心者は無理に手を出す必要はありません。

盆栽が育っていくと、鉢の中が根でいっぱいになってしまう場合があります。そのときは、鉢をひとまわり大きなものにして植え替えをしましょう。これは初心者には少し難しい作業になりますので、自信がなかったら専門の業者さんなどに相談してみましょう。


まとめ

何かを始めるときは、どうしても「道具をそろえないと」「ちゃんと勉強しないと」となりがちですが、やってみないとわからないこともたくさんあります。

初心者用の小さな盆栽もたくさん流通しているので、まずは試行錯誤しながら少しずつ知っていってみましょう。


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nishi

nishi

大学では日本文化や比較文化を学んでいました。美術の学芸員資格を持っていて、一番の趣味も博物館・美術館めぐりです。気になる展覧会があれば、新幹線や飛行機に乗ってでも足を運びます。「推し」は酒井抱一。
普段は花や鉱石、文学などを愛でながらのんびり過ごしています。ゲームのシナリオライターでもあるため、サブカルチャー方面にもアンテナを張るようにしています。
好奇心が原動力。「楽しい!」という気持ちを、いろんな人と分かち合うのが好きです。いつか自分の趣味をふんだんに盛り込んだ展示イベントを企画できたら……と野望を抱いています。

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