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【日本画】動物たちの愛嬌ある仕草に優美なたたずまい。特別展『竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス』開催[山種美術館]

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本展の見どころ

重要文化財・竹内栖鳳《班猫》を約4年ぶりに公開!

毛並みは墨や金泥などを駆使した繊細な線で表され、柔らかな感触まで描き出しています。真に迫る猫の表現に注目。


動物画の名手が勢ぞろい!

栖鳳作品とともに、栖鳳の弟子の西村五雲や西山翠嶂、橋本関雪をはじめ、動物画を得意とする近代・現代の日本画家による作品を一堂に展示。


魅力あふれる動物たち

凛とした猫の姿を捉えた小林古径《猫》、写実と装飾性を融合し蛾と蜘蛛を表した速水御舟(はやみぎょしゅう)《昆虫二題》、ユーモラスな表情の蛙を描いた柴田是真(しばたぜしん)《墨林筆哥(ぼくりんひっか)》など、さまざまな生き物の表現をご紹介。


ローマ教皇に献納される《西教伝来絵巻》試作を特別公開

初公開となる守屋多々志《西教伝来絵巻》試作は、展示後にヴァチカンに献納されるため、日本で公開される最初で最後の貴重な機会。


第1章

《班猫》と栖鳳が描いた動物たち


竹内栖鳳は、江戸時代以来の円山四条派の伝統を受け継ぎながら、幅広い流派の技術を柔軟に学び、若くして頭角を現しました。1900(明治33)年には35歳でヨーロッパに渡り、さまざまな西洋美術に触れ、大きな刺激を受けます。その体験を通じて、実物をよく観察して対象を描くことの重要性を実感しました。もともと栖鳳は、円山四条派の教えのなかで、写生に基づく表現手法を身に付けていましたが、帰国後は、対象の観察と写生に根ざした作品制作に、さらに熱心に取り組みました。

1924(大正13)年に制作された《班猫》も、実物の猫を観察して描いた作品です。猫を自身の画室に放し、写生や写真撮影を行いながら、一瞬の動きや表情を捉えた迫真的な猫の姿を描き出しました。

栖鳳は《班猫》の猫のほかにも、犬、兎、家鴨など、多くの生き物を実際に飼い、間近で観察しながら作品を制作しました。動物を主題とする作品ではそれぞれの特徴が的確に捉えられ、風景の中に小さく描かれる場合でも、動物たちは生き生きと表されます。


第2章

アニマルパラダイス


西村五雲 《白熊》 1907(明治40)年 絹本・彩色 山種美術館 / 山口華楊 《生》 1973(昭和48)年 紙本・彩色 山種美術館

古くから美術の世界では、猫、犬、牛、馬、鹿、猿をはじめ、多くの動物たちが表現されてきました。絵の中に生き物が描かれる理由はさまざまで、ときには宗教的な意味合いと結びついて描かれ、詩歌や物語の世界を表し、あるいは長寿、子孫繁栄といった吉祥の意味が付されることもありました。

近代以降の日本画家たちも、多彩な生き物の姿を絵画に描き続けています。近世までの動物表現を引き継ぎながら、新たな時代に即した動物画を生み出していきました。

たとえば、竹内栖鳳の弟子である西村五雲が文展(文部省 美術展覧会)に出品した《白熊》は、伝統的な筆遣いで対象を描きながら、従来の日本美術には表されてはこなかった、白熊という新しいモティーフに挑んでいます。
奥村土牛も動物を描くことを好みました。《兎》、《鹿》などには、描く対象としての動物たちの形態への興味や、生き物に対しての土牛の慈しみあふれる視線が感じられます。

私たちの目を楽しませ、深い感動を与えてくれる絵画の中の動物たちです。



奥村土牛 《兎》 1947(昭和22)年頃 絹本・彩色 山種美術館


《班猫》

[竹内栖鳳]


竹内栖鳳 《班猫》【重要文化財】 1924(大正13)年 絹本・彩色 山種美術館


《みゝづく》

[竹内栖鳳]


竹内栖鳳 《みゝづく》 1933(昭和8)年頃 絹本・彩色 山種美術館


《蛙と蜻蛉》

[竹内栖鳳]


竹内栖鳳 《蛙と蜻蛉》 1934(昭和9)年 紙本・墨画淡彩 山種美術館


《鴨雛》

[竹内栖鳳]


竹内栖鳳 《鴨雛》 1937(昭和12)年頃 絹本・彩色 山種美術館


《憩える車》

[竹内栖鳳]


竹内栖鳳 《憩える車》 1938(昭和13)年 絹本・彩色 山種美術館


《墨林筆哥》

[柴田是真]


柴田是真 《墨林筆哥》 1877-88(明治10-21)年 紙本・漆絵 山種美術館


《白熊》

[西村五雲]


西村五雲 《白熊》 1907(明治40)年 絹本・彩色 山種美術館


《狗子》

[西山翠嶂]


西山翠嶂 《狗子》 1957(昭和32)年 絹本・彩色 山種美術館


《霜の朝》

[橋本関雪]


橋本関雪 《霜の朝》 1935-44 年頃(昭和10 年代) 絹本・彩色 山種美術館


《猫》

[小林古径]


小林古径 《猫》 1946(昭和21)年 紙本・彩色 山種美術館


《兎》

[奥村土牛]


奥村土牛 《兎》 1947(昭和22)年頃 絹本・彩色 山種美術館


《昆虫二題 葉蔭魔手・粧蛾舞戯》

[速水御舟]


速水御舟 《昆虫二題 葉蔭魔手・粧蛾舞戯》 1926(大正15)年 絹本・彩色 山種美術館


《生》

[山口華楊]


山口華楊 《生》 1973(昭和48)年 紙本・彩色 山種美術館


《西教伝来絵巻 下巻》試作

[守屋多々志]


守屋多々志 《西教伝来絵巻》試作 下巻 (部分) 20-21世紀(昭和-平成時代) 紙本・彩色


【特別展】竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス

併設展示:ローマ教皇献呈画 守屋多々志《西教伝来絵巻》試作 特別公開

2020年9月19日(土)~11月15日(日)

[会場] 山種美術館
[開館時間] 11:00〜16:00 (入館は15:30分まで)
※今後の状況により会期・開館時間等は変更する場合がございます。
[休館日] 月曜日(但し9/21(月)、9/22(火)は開館、9/23(水)は休館)
[入館料] 一般1300円、大学生・高校生1000円、中学生以下無料(付添者の同伴が必要です)
障がい者手帳、被爆者健康手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)一般 1100 円 、左記のいずれかのうち大学生・高校生900円
[きもの特典] きものでご来館のお客様は、一般200円引き、大学生・高校生100円引き
[主催] 山種美術館、日本経済新聞社

[山種美術館]>>http://www.yamatane-museum.jp/

[入館日時オンライン予約システム導入]
詳しくは、Webサイト(http://www.yamatane-museum.jp/onlineticket.html)をご覧ください。

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