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【花鳥画】日本美術の知られざる名匠!初の回顧展『渡辺省亭-欧米を魅了した花鳥画-』開催[東京藝術大学大学美術館]

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展覧会のみどころ

みどころ 1

国内美術館で待望の初「回顧展」

市井の画家であることを貫き、没後は知る人ぞ知る画家となった省亭ですが、近年、作品の質の高さから再評価の機運が高まり、満を持して、待望の美術館での「初」の回顧展となります。


みどころ 2

初公開の個人コレクションなど厳選された作品がずらり

2021年3月に豪華画集の発行も予定されており、数年前から入念な作品調査が行われてきました。近年公開されたことのない、知られざる個人コレクションを含む、厳選された作品が出品されます。


みどころ3

海外から初めての里帰り作品も

没後、日本では無名に近い省亭ですが、海外ではパリ万博(1878年)への出品などを通じて、「花鳥画の名手」として評価が高く、欧米の名だたる美術館には数多くの省亭作品が所蔵されています。本展には、米国のメトロポリタン美術館などから優品が里帰りします。


展示作品[一部紹介]

江戸の美意識と西洋感覚

生涯浅草に暮らした省亭は、江戸の美意識を頑なに守るタイプの日本画家でした。

反面、その卓越したデッサン力や描写力は当時の日本画界では突出しており、西洋人の眼さえも驚かせ、日本的な情緒と西洋的な写実がみごとに融合した絵画世界は、現代の私たちにとっても魅惑の存在です。

牡丹に蝶の図


《牡丹に蝶の図》 1893(明治26)年/絹本着色/一幅/個人蔵


愛らしく生き生きとした動物表現

繊細で精緻な表現で生き生きとした姿を描く省亭の動物画は、伝統的な中国画や日本絵画には見られなかった近代的なリアリティがあり、同時に愛らしさを特徴としています。

春野鳩之図


《春野鳩之図》 絹本着色/一幅/加島美術


月夜木菟


《月夜木菟》 絹本着色/一幅/個人蔵


海外からの里帰り作品

1878(明治11)年、省亭は日本画家としてはじめてパリを訪れました。

滞在中には、その筆さばきがドガをはじめ多くの印象派の画家たちを驚嘆させたと伝えられます。また、明治20年代にロンドンの画廊で開催された展示会では100点以上の省亭作品が販売されたと考えられています。そうした海外での高い評価を物語る作品が里帰りします。

※海外の新型コロナウイルス感染症拡大状況により、変更される場合があります。

鳥図(枝にとまる鳥)


《鳥図(枝にとまる鳥)》1878(明治11)年/紙本淡彩/一面/クラーク美術館 Clark Art Institute. clarkart. edu


百舌鳥に蜘蛛図(花鳥魚鰕画冊)


《百舌鳥に蜘蛛図(花鳥魚鰕画冊)》 絹本着色/一面(全二十一面のうち)/メトロポリタン美術館


牡丹に雛図(花鳥魚鰕画冊)


《牡丹に雛図(花鳥魚鰕画冊)》 絹本着色/一面(全二十一面のうち)/メトロポリタン美術館


七宝作家 濤川惣助とのコラボ

無線七宝の技術を開発して近代日本工芸史に多大な功績をのこした濤川惣助(なみかわそうすけ)。その技術の魅力を最大限に引き出したのが省亭の原画でした。

濤川の無線七宝は数々の万博に出品され海外でも評価されましたが、東宮御所(迎賓館赤坂離宮)の造営に際しては省亭の原画による七宝額絵の連作を製作しています。

柳に燕図花瓶


渡辺省亭原画(推定) 濤川惣助作《柳に燕図花瓶》 明治時代後期/七宝/一口/京都国立近代美術館/撮影:木村羊一


賓客をもてなす最上級の美

国宝・迎賓館赤坂離宮にある「花鳥の間」は、渡辺省亭・濤川惣助の共作による七宝額絵で今も華やかに彩られている。

淡紅鸚哥に科木


迎賓館赤坂離宮・七宝額原画《淡紅鸚哥に科木》絹本着色/一面(全三十図のうち)/東京国立博物館/Image : TNM Image Archives/前期展示:3月27日(土)~4月25日(日)


山翡翠・翡翠に柳


迎賓館赤坂離宮・七宝額原画《山翡翠・翡翠に柳》絹本着色/一面(全三十図のうち)/東京国立博物館/Image : TNM Image Archives/前期展示:3月27日(土)~4月25日(日)


花鳥画だけではない省亭の魅力!

省亭は菊池容斎門下の歴史画家として出発。その後は花鳥画で一家を成しましたが、省亭の描いた美人画や風俗画は、花鳥画に劣らず独特の品格を持っています。省亭風と呼ばれた美人画は、後代の鏑木清方らにも大きな影響を与えました。

梅屋敷


《梅屋敷》1876(明治9)年/一幅/絹本着色/奈良県立美術館/後期展示:4月27日(火)~5月23日(日)


春は上野の桜、夏は不忍池、秋は滝野川、冬は隅田堤。四季折々の江戸の粋な風情を洗練された筆致で捉え、夏と冬では大きく美人を描いている。

四季江戸名所(春 上野清花)


《四季江戸名所(春 上野清花)》(部分)絹本着色/四幅のうち/個人蔵


四季江戸名所(夏 不忍池蓮)


《四季江戸名所(夏 不忍池蓮)》(部分)絹本着色/四幅のうち/個人蔵


四季江戸名所(秋 瀧の川の楓)


《四季江戸名所(秋 瀧の川の楓)》(部分)絹本着色/四幅のうち/個人蔵


四季江戸名所(冬 墨堤の雪)


《四季江戸名所(冬 墨堤の雪)》(部分)絹本着色/四幅のうち/個人蔵


渡辺省亭

[わたなべせいてい] 1852年~1918年

1852年1月(嘉永4年12月)江戸神田佐久間町に生まれる。

16歳で歴史画家・菊池容斎に入門し、筆遣いや写生の基礎を学ぶ。

1875(明治8)年 起立工商会社に入社し、輸出用工芸図案を担当。1877(明治10)年の内国勧業博覧会出品作を翌年のパリ万博にも出品。同社派遣により日本画家としてはじめてパリに渡る。帰国後、内外の博覧会や展覧会に花鳥画を中心に積極的に出品し、明治20年代には伝統と洋風を融合した自己様式を確立。

明治30年代以降、美術展覧会、美術団体と距離をおき、市井の画家として独自の活動を行う。

人気は高く、明治40年代からは同時代で群を抜く高い画料で仕事をしたが、弟子をとらず、1918(大正7)年、68歳(数え歳)で亡くなる直前まで、ひとり注文に応じて旺盛な制作を行った。



渡辺省亭-欧米を魅了した花鳥画-

2021年3月27日(土)~5月23日(日)
※会期中展示替えがあります。

[会場] 東京藝術大学大学美術館
https://www.geidai.ac.jp/museum/

[開館時間] 10:00〜17:00(入館は16:30まで)

[休館日] 月曜日(ただし5月3日は開館)

[観覧料(税込)] 前売:一般 1,500円 高校・大学生 1,000円 / 当日:一般 1,700円 高校・大学生 1,200円
※中学生以下無料。
※障がい者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料(入館の際に障がい者手帳などをご提示ください)
※会期中、入場制限および、入場日時指定予約を実施する可能性がございます。
※最新情報はホームページでご確認ください。

[前売券] 2021年3月26日(金)まで販売

[主催] 東京藝術大学、東京新聞、NHK、NHKプロモーション
[協賛] DNP大日本印刷、ロート製薬
[問い合わせ] ハローダイヤル 03-5777-8600

[巡回]
岡崎市美術博物館 2021年5月29日(土)~7月11日(日)(予定)
佐野美術館 2021年7月17日(土)~8月29日(日)

[公式ホームページ] https://seitei2021.jp

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