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【和菓子】見た目も美しく上品な菓子から日常お茶請け。様々ある和菓子の種類や名前を紹介

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和菓子の分類

さまざまな種類がある和菓子ですが、できたての時の水分含量によって分類することができます。

お菓子に含まれる水分の量が多いほどしっとりとしたものが出来上がり、水分を30%以上含むものは【生菓子】、水分含量が10~30%のものは【半生菓子】、水分が10%以下のものは【干菓子】と大きく分類されます。

【生菓子】は水分含量が多いため長持ちしないお菓子が多く、【干菓子】は日持ちすることからお供え物や冠婚葬祭などに多く利用され、また茶道を彩るお茶菓子としても親しまれています。


【生菓子】

餅物

もっちもちの生菓子「餅物」は、もち米、うるち米や道明寺粉、白玉粉などの米の加工品が主原料です。

この種類を代表するものには「大福餅」「道明寺」「羽二重餅」の他、お祝い事に欠かせない「赤飯」やお彼岸のお供え「ぼたもち(牡丹餅)」・「おはぎ(御萩)」などがあります。

「ぼたもち」と「おはぎ」はもち米とあんこを材料に作るのは一緒ですが、なぜ違う名前で呼ばれているのでしょうか。それは使う餡の種類と食する時期によって呼び方が違います。

「ぼたもち」はこしあん、「おはぎ」は粒あんを使うのが一般的で、食する時期は「ぼたもち」は春のお彼岸(3月の春分の日をはさんだ前後3日の合計7日間)に、そして「おはぎ」は秋のお彼岸(9月の秋分の日をはさんで前後3日の合計7日間)に食します。どちらもご先祖様に感謝の気持ちを伝えるためお供えする習慣があります。小豆の魔除け効果にあやかって無病息災を願うために供えたことが今なお継続されているといいます。


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蒸し物

せいろや蒸し器などに入れて蒸して仕上げる和菓子を「蒸し物」と呼びます。ふわっふわの食感が人気のお菓子です。

多くの種類の「饅頭」「かるかん」「蒸し羊羹」などが「蒸し物」に分類されます。

そもそも和菓子は鎌倉・室町時代に、禅宗とともに中国から伝来した「点心」がその原型ではないかと伝えられるものが多く、「饅頭」もそのうちの一つです。

「饅頭」は茶の湯の発展に伴ってお茶請けとして親しまれるようになりました。


焼き物

「焼き物」は、生地を焼き上げて作るお菓子を指し、焼き方によってさらに「平鍋物」、「流し込み型物」、「オーブン物」などに分類されます。

「平鍋物」とは鉄板に生地を焼いて作る和菓子のことで「どら焼き」「きんつば」などがこの種類に属しています。「流し込み型物」は型に生地を流しこんで焼き上げるもののことで「今川焼」「たい焼き」などが代表するものとしてあげられます。「オーブン物」は読んで字のごとく、オーブンで生地を焼いて仕上げる和菓子のことです。「カステラ」「栗まんじゅう」などが代表的です。


流し物

上述の「流し込み型物」とは異なり、「流し物」は寒天や餡などを流し箱に入れて、冷やして固める和菓子を指します。

この種類には「練り羊羹」「水羊羹」などがあげられます。

「練り羊羹」の歴史は古く、京都伏見の『鶴屋』で開発・販売したのが始まりだと言われています。1589年に『鶴屋』が発表した『伏見羊羹』の人気が口コミで広がり、天下人『豊臣秀吉』からも愛されたといいます。『鶴屋』は人気商品を生み出した後も、それにさらに改良を加えて、現代に伝わる「練り羊羹」を生み出したと伝えられています。


煉り物

生菓子の代表的な存在である「煉り物」はしっとりとした食感と美しい形が印象的な和菓子です。たくさんの和菓子が「煉り物」のカテゴリーに入りますが、求肥ぎゅうひ「練りきり」が代表的なものです。

「求肥」は白玉粉やもち粉に砂糖を加えて練り上げるもので、餅のような食感が特徴です。一方「練りきり」は餡を主体にして形を作る和菓子です。

成形から着色まで職人の高度な技術が求められる「練りきり」は、茶の湯を彩る和菓子としても知られ、季節の風物詩を象ったもの等、職人の技が輝くお菓子です。


揚げ物

「揚げ物」はその名のとおり、生地を油でからっと揚げた和菓子の総称、その歴史は平安時代に遡ります。

もともとは7世紀半ばから300年以上にも渡る統治で一大帝国を築いた『唐』から伝わったとされ、『唐』伝来のお菓子は他の製法のものも含めて「唐菓子」と称されていました。「揚げ物」については、当時は米粉、お湯、甘葛煎で作られ、薬用とされた貴重な砂糖は使われなかったと伝えられています。

代表的な「揚げ物」には、「あんドーナツ」「揚げ月餅」などが挙げられます。


【半生菓子】

あん物

半生菓子でいうところの「あん物」は砂糖や水飴の特性を活かした、比較的保存性の高い和菓子のことを指します。日本の代表的な半生菓子とも称される石衣いしごろもがこの種類に属します。

「石衣」は京都や大阪など、関西地方では松露しょうろと呼ばれています。原材料や作り方次第で上菓子としても駄菓子としても楽しめるお菓子です。


おか物

最中もなか州浜すはまなど、別に調整した製品やその他のものを熱加工せずに組み合わせて成形して仕上げる半生菓子を「おか物」と称します。

「州浜」は浜辺と入り江の姿をあらわしたとされる粋なお菓子です。原料には炒った大豆を粉にした「州浜粉」が使われています。

和菓子の中には、上新粉のモチモチ感と控えめな甘さが特徴の「寿甘すあま」という「州浜」とよく似た名前のものがあります。全くの別物なのでお間違えのないように。


焼き物

生菓子でご紹介した「焼き物」同様に、平鍋やオーブンで生地を焼いて作ります。

桃山ももやま草紙そうしなどが半生菓子の「焼き物」として分類されます。

「桃山」という名前については、京都の伏見城(桃山御殿)の瓦模様を模したことから命名されたとされる説、京の茶人たちから好まれたことから京都の地名にちなんで名付けられたとされる説など、さまざまな説が伝えられています。江戸幕府最後の将軍『徳川慶喜』が愛した和菓子としても有名です。


流し物

半生菓子の「流し物」も生菓子と同じに、型に流して作る和菓子です。

生菓子の「流し物」より日持ちを良くするために作られたもので、透明で見た目が美しいのが特徴の錦玉きんぎょくがこの種のお菓子として挙げられ、さまざまに細工できることから熟練の職人技が活きるお菓子としても知られています。

ひんやりと冷やして賞味することから夏の贈答品として人気のある和菓子です。


煉り物

半生菓子に属する「煉り物」の代表は「求肥」です。そうです、「求肥」は生菓子の煉り物に分類されると前述でご紹介しました。実は、水分量によっての分類は科学的には正しいのですが、材料を煉る加減で半生菓子にも生菓子にもなり得るということで、分類するのが難しい和菓子なのです。

半生菓子用の「求肥」はしっかりと煉る、生菓子用は柔らかく仕上げることで、違う種類に分類されます。ちなみに、種類豊富な「羊羹」も同じ理由から分類の難しい和菓子です。




【干菓子】

打ち物

「打ち物」と呼ばれる和菓子は「みじん粉」、「煎り麦粉」、「きな粉」などの粉類と砂糖を加えて型に入れて固めたのちに打ち出し、表面に蒸気をあてて乾燥して仕上げるというお菓子です。

仏事に用いるお供え物や茶の湯の席でもてなされるお茶菓子として知られる落雁らくがんが代表的な「打ち物」のお菓子です。「落雁」という名前は、中国の瀟湘しょうしょうの辺りで描かれた美しい八つの風景の一つ平沙落雁へいさらくがんを想わせるとして名付けられたとされる説他、さまざまな説が語り継がれています。


押し物

上述の「打ち物」で使用する材料に特徴づけをするための副材料を配合して木枠に入れ、形を壊さないように優しく押し付けて成形するのが「押し物」と呼ばれる和菓子です。

口溶けの良さが特徴で「塩がま」村雨むらさめなどが代表的とされます。『村雨』は1854年、江戸末期創業の和菓子の店・塩五しおごが生み出した和菓子で、商標登録されています。『村雨』という商品名は、和泉八景のひとつ『貝浦村雨』にちなんでだものです。現在でも塩五のある大阪府泉州地域の銘菓として愛されています。


掛け物

金平糖こんぺいとう「雛あられ」「甘納豆」など、砂糖やシロップ、現代ではチョコレートなどをかけて仕上げる和菓子を「掛け物」と呼びます。

桃の節句「ひな祭り」を彩る「雛あられ」は、ピンク・緑・黄・白の4色で四季を表すのが一般的です。これには一年を通じて娘の幸せを祈るという意味が込められています。

「雛あられ」は関東地域と関西地域で別のもののことを指します。ここで紹介している「雛あられ」は、ポン菓子を砂糖でコーティングした甘い味のもののことで、関東で親しまれている「雛あられ」です。関西地方では、おかきを醤油などで塩気のある味付けにしたものを「雛あられ」と呼びます。


焼き物

生菓子、半生菓子でご紹介した「焼き物」と同様に、生地を焼いて仕上げるもので、比較的日持ちしやすいことから、贈り物として利用されることの多い和菓子です。

日本では離乳食として人気の各種「ボーロ」がこの種を代表する和菓子です。

「ボーロ」は16世紀にポルトガルから日本にもたらされたもので、「ボーロ」という言葉はポルトガル語で「ケーキ」を意味します。カリッとした軽い歯ざわりと口の中でしゅわっと溶ける食感が特徴です。


あめ物

砂糖に水飴を配合して、煮詰め、成形し、そして冷却もしくは細工で仕上げる和菓子を「あめ物」と称します。

さまざまに細工できることから、お祝いの席に華を添えるものとして、また茶の湯の際のお茶菓子として一般に広まりました。この種を代表する有平糖あるへいとうは、桃山時代にポルトガル船によって日本に輸入されていたといいます。「有平糖」という名前は、ポルトガル語で砂糖菓子を意味する「アルフェロア」が語源とされています。

この種類のお菓子を代表するものとしてとして翁飴おきなあめも挙げられます。翁飴は、1592年に創業された秋田県の和菓子の老舗・桔梗屋ききょうやの十四代目吉太郎が創製して、後人たちに伝えてきたという歴史のあるお菓子です。秋田を代表する最高級銘菓として広くその名が知られています。



まとめ

昨今では「見た目が美しい」「洋菓子と比べてヘルシー」という理由などから、外国人にも和菓子は人気です。

長い歴史を誇る日本の伝統的な食文化の一つとして、これからも多くの人々に愛されるものであることは間違いなさそうですね。

さまざまな種類がある和菓子の世界を楽しんでみてください。


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井筒屋

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