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【藤井道人監督】故・河村光庸さんの遺志を継承、伝統芸能から現代を切り取った映画『ヴィレッジ』[広島国際映画祭2022]

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映画『ヴィレッジ』

作品のアイデアは、藤井監督が所属する映画製作、配給会社スターサンズのプロデューサーで、今年の6月に急逝された河村光庸さんが提案されたもの。本作は河村さんが製作現場を訪れた最後の作品であり、彼の思いを引き継ぐ形で藤井監督が脚本・監督を引き受けたといいます。


本作の主題にあるのは、日本最古の芸能ともいえる「能」。

映画のイメージを得るために関東から関西、そして全国の「能」の舞台を見たという藤井監督。藤井監督は「能は全く初めてでしたが、勉強し始めたら奥が深いものであり、コロナ禍でエンタメの必要性が問われた中でも、世の中に訴えるものがあります」とそのテーマに対する自身の深い思いを語ります。

イベント中には撮影の風景や「能」のイメージなどについても写真を公開。不気味さすら感じられた、薄暗い中に映しだされる能面の人たちが並んだ姿に対して行実さんは「例えば海外では、マスクを被るというのはある意味悪い者がするものだ、という印象もあります。この姿の不気味さは、ある意味現代社会に存在する不気味さを切り取ったものにも見えるでしょう」と、映画に込めた自身の思いを彷彿させる説明を語ります。

2022年の4,5月に京都の美山で撮影されたという本作。ロケーションに関しては、全国の村落候補より映画のテーマに沿って「集合体であることが大事」という藤井監督の思いのもとに選ばれたといいます。また藤井監督は、村の中には茅葺き屋根の建物があったことで、作品のイメージをより掻き立てられたことが、この場所を選んだきっかけであったことを合わせて明かします。


部谷美術監督は、本作の物語に対して「まさに現代日本の縮図といえるでしょう。(もちろん作品は)まだ観ていませんが、決して他人事ではなく自分ごととして考えられる作品だと思います」とコメント。


そして最後に行実プロデューサーは「スターサンズの作る作分は、ジャンルとして分類するのは難しいものの『時代を切り取る』ことを大切にしており、(本作も)かなり見応えのある作品になっています」と語ります。現在編集作業続行中の作品に対し、藤井監督は「一言では言い表せない深い映画になっていますし、河村の遺志を継いで(これからも)世の中をあっと驚かせる映画を撮っていきたいです」と自身の思いを明かし、イベントを締めくくりました。


映画『ヴィレッジ』特報【2023年公開】


(以下、『広島国際映画祭2022』公式サイトより)

映画『ヴィレッジ』ストーリー

夜霧が幻想的な、とある日本の集落・霞門村(かもんむら)。神秘的な「薪能」の儀式が行われている近くの山には、巨大なゴミの最終処分場がそびえ立つ。
幼い頃よりこの村に住んでいる片山優(横浜流星)は、美しい村の中でも異彩を放つこのゴミ処理施設で働いていたが、母親が抱えた借金の支払いに追われていることを理由に同じくゴミ処理施設で働く作業員に目をつけられ、希望のない日々を送っていた。
そんなある日、幼馴染の美咲が東京から戻ったことをきっかけに、物語は大きく動き出す――。

キャスト

横浜流星、黒木華、一ノ瀬ワタル、奥平大兼、作間龍斗、渕上泰史、戸田昌弘、矢島健一、杉本哲太、西田尚美、木野花、中村獅童、古田新太

スタッフ

音楽:岩代太郎
監督/脚本:藤井道人
制作プロダクション:スターサンズ
配給:KADOKAWA/スターサンズ


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桂 伸也

桂 伸也

“和”という言葉で表現されるものには、人によって色んなイメージがあると思いますが、私は“整然として落ち着いたもの”という雰囲気を感じ取っています。

普段は芸能系ライターとして活動を行っており、かなり“にぎやかな”世界に生きていますが、その意味で“和”という言葉から受ける雰囲気に、普段から強い憧れや興味をもっていました。

なので、そんな素敵な“和”の世界へ、執筆を通して自らの船を漕ぎ出していきたいと思っています。

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